インターバンク市場では「金融機関が互いに資金の過不足を調整するためにごく短期の資金貸借を行っている」のですが、だからと言って市場全体としては常に「過不足なし」という状態ではありません。
たとえば、この市場を通じて、日常的に以下のような取引(お金の流れ)があります。
①国が国債を発行するとき
その発行額に見合ったお金が民間から国庫勘定(政府が日銀に設定している)に払い込まれます。この場合、その一部はインターバンク市場から国庫に移動します。つまり、Aさんが個人向け国債を購入する場合、銀行の預金を取り崩して国債の購入代金に充当するのが普通でしょう。
すると、Aさんが持っている預金の額は減ります。
つまり、Aさんから預金を受け入れている銀行にとってみれば、預かっている資金が減少するのです。この場合、市場全体としてはお金が不足気味になります。
②地方交付税交付金が支払われるとき
逆に、国庫勘定からたとえば大阪市がりそな銀行に持っている口座に交付金が払い込まれるわけですから、インターバンク市場全体では資金額が増えます。
③民間金融機関と企業、個人との間でローン、預貯金などの口座を通じて
たとえば3月末ともなれば企業間の資金決済が集中するため、企業が金融機関に持っている預金は総じて減少します。つまりこの場合、金融市場から民間企業セクターに対して資金が流出気味になっているのです。
これは当然、資金不足要因として働きます。
つまり、こうした結果、毎日のようにインターバンク市場では資金の過不足が生じています。これを調整しているのが、日々の日本銀行の金融調整なのです。
基本的には日本銀行は「最終的に市場全体での資金の過不足がなくなるように」調整します。